全ての魔女を生まれる前に消し去りたい──まどかが願った奇跡は世界のルールを、宇宙そのものを再編する事。希望を振りまいた結果、絶望を撒き散らすこの世界そのものをやり直しちゃったわけで、そうすることでようやくまどかと出会い、ワルプルギスの夜で終わる永遠の1ヶ月の呪いからほむらは解放される事にもなった。法則を捻じ曲げた以上、魔女化するまどか自身も存在できず、未来永劫魔女を滅ぼす概念に成り果ててほむら以外の人々の記憶から痕跡が消える。この結末を見るに、個体としてのまどかを失ったものの、絶賛ループ地獄中であったほむらは救われたと解釈するべきなんだろうなぁ。無論、その他多くの魔砲少女も魔女となって呪いを撒く事もなくなった以上、救われているのだろう。たとえ魔女とは違う形で、世界の歪みは発生しているが。1クール通して、奇跡を叶えるとはなんなのか。そして希望を願った自分自身を信じて、という事を描かれていた作品なんだなぁと、纏めてみる。ちょっと綺麗過ぎるまとめかな。

『魔法少女まどか☆マギカ』

綺麗に纏めたところで、綺麗じゃない部分とか。虚淵脚本がただのハッピーエンドとか、考えられない。出てきた答えはやっぱり希望と絶望のワンセットじゃないのかな、とか。まどかは世界概念になったけど、人で無い以上QB同様に人の価値観では計れなくなったわけで、概念化が願った結果による呪いとしても、それを呪いとかのレベルで感じなくなっている可能性はきわめて高い。しかも想像した世界にまどかはいないわけで、まどかの願いの歪みは魔獣という形で世界に発生し、まどかとの思い出を持つほむらが1人で真相を背負うわけである。これはある意味、まどかが願いによる呪いと読み取ることも可能。あるいは希望そのものとなったまどかに対し、まどかの絶望を引き受けたのがほむらっていう図式とか。ラスト、戦いに挑むほむらの側にはマミや杏子の姿はなく、ループ時代と変わらず孤独な戦いに身を投じている。まどかという概念と結びついているほむらもまた、人の形をした絶望という概念としてまどかの希望とあわせてバランスを取っているのかもしれない。なんて救いの無い解釈に思いを馳せる、最終回でした。