それでは四十万夫婦&助川電六をメインに据えた新番組『花咲くいろは ZERO』にご期待ください…てな流れを妄想してしまった、豆じいによる「スイちゃん」は破壊力ありすぎ。最終回、どのようにまとめるのかとドキドキしながらの視聴。特に旅館業を続けるのかどうかは注目の的だったけど、豆じい送別会で縁の宣言「一度閉じるだけだ」「またいつか、旅館を再開したい」に集約される。喜翠荘廃業騒動の中で、改めて自身の未熟さを思い知った縁の決断は現実に即したもの。この宣言に喜翠荘の面々は再集結しようっ！　と誓い合う姿は美しい。#25での菜子の言葉、そして緒花が望み札に書いた「四十万スイになりたい」から、喜翠荘は女将の夢ではなくてみんなの夢になっている事を知らしめる展開は、まさに胸熱。それもじんわりと来る系。ZEROを待つまでもなく、主人公は女将だよ…。一応の主人公、緒花のドラマとしては、四十万スイなる形をした夢の認識、そして焼きそば露天の前での孝ちゃんへの好きです告白。伝えられなくて一旦は「焼きそば食べたい」とか言っちゃうけど、今回はちゃんと言えました。これも緒花の成長です。
『花咲くいろは』

タイトルの花咲く、の花は夢であり、いろははいろは歌の歌い始め。夢を咲かせるための最初の物語である、と述べているのが『花咲くいろは』という作品。別作品で、まずは「夢自体がなければいけない」的な言葉があったけれども、26話費やして四十万スイが体現した「女将さんみたいに仕事に誇りを持って、一生懸命になって、ちょっと子供っぽくて、いつまでも一番最初の気持ち、最初の夢を忘れないで、そんな風になりたい」を緒花が見つけるまでを描き切った作品なわけで、演出や展開でとっ散らかった部分が散見したりもしたけれど、この主題を最初から最後まで忘れないでいたからこそ全26話のレビューを続けられたわけであります。したがって、民子の家庭環境や蓮さんのプレッシャーに弱い理由、縁と崇子の出会い、ふく屋女将との因縁等々気になる所が残っていても、そこは良しとしましょう。見送る女将から緒花が受け継いだ業務日誌。この日誌の続きを緒花が書き始められるかどうかは分からない。でも、違う形になっても、今はまだ、きっとつぼみの緒花はきっと花咲くだろうから…。あーでも最後のシーンぐらい「お祖母ちゃん」って緒花台詞が聞きたかったなぁ。